アウトドア・クッキングの新しいスタイル

 キャンプ料理って云えば、一昔前はBBQ(バーベキュ)が定番。あとはヤキソバとカップ麺。ところがダッヂオーブンの普及によって、野外でも一流レストラン並みの料理が食べられるようになった。ダッヂオーブン、この鉄鍋さえあれば、およそどんな料理でも簡単においしく仕上がる。
 ダッヂオーブンが紹介されはじめてから、まだ10年そこそこ。日本での歴史は浅いが、いまではアウトドア派のあいだで静かなブームとなり、まるで創作料理並みに様々なレシピが生み出されている。
ダッヂオーブンの歴史
 ダッヂオーブンってなに? よく聞かれる。ダッヂオーブンを語るとき、アメリカ移民の歴史に触れなければならない。ヨーロッパからの移民たちが、はるばる大西洋を越えて、アメリカ東海岸の港に着く。これから先の内陸部へは、幌馬車を仕立てて旅することになる。西部開拓のスタートだ。

 移民船が着く港には、生活用品を売る行商人たちがいて、オランダ商人が売り歩いてたのがこの鉄鍋、つまりダッヂ(オランダ人)のオーブン、それが名前の由来だと云われている。この鉄鍋は頑丈で長持ち、およそ料理ならパン焼き、スープ、豆や肉料理まで何でもこなす。いわゆる「万能鍋」である。野営生活をする上では必要不可欠なキッチン・アイテムなのだ。

 そうした歴史を経て、ダッヂオーブンはアメリカン・カウボーイたちに受け継がれた。肉や野菜をまるごとダッヂオーブンに放り込んで、そのまま焚き火にかける。何にもしない。小細工しない。まさに男の料理である。食材本来が持つ「旨味」だけを引き出す素朴でシンプルな料理法なのだ。ただ使いこなすには、それなりに修練が必要なことも確かである。
DOびっくり調理法 その1
DOは写真のように何段にも積み重ねて使用することも可能だ。一番下の段にはメインとなるオカズ、中段にはスープ、そして一番上にはご飯を載せて、晩飯をいっぺんに作ってしまう。このまま40分から1時間のあいだ、子供たちとキャッキボールをしたり、釣りをしたり、ギターを弾いて歌ったり、思い思いにキャンプサイトで過ごそう。いい匂いがしてくる。火から下ろして蓋を開けると、さぁ、お待ちかね、おいしい料理が出来ている。笑顔もこぼれる、会話もはずむ。
DOびっくり調理法 その2

どこかキャンプに行って、朝の市場をブラブラしていると、こんな珍しい食材が手に入った。よし! マグロの兜焼きに挑戦だ。こんな時にDOはその真価を発揮する。ディープを2つ合わせれば、ご覧の通り、立派な焼き釜になる。こんな豪快な料理も手軽に出来てしまう。家庭ではもちろん、一般の料理店でもこれは不可能だろう。まさにDOならではの調理法である。

DOのおいしい食べ方

 ダッヂオーブンは「焼く・煮る・蒸す・揚げる、炒める」およそどんな料理でもこなせるプリミティブな調理鍋である。それだけに食材を見極める眼力と想像力が必要とされる。それにも増して重要なことは、環境を気遣う倫理観、そして人とシェアする喜びを体験することにある。

 一緒に考え、そして作り、共に分かち合う。出来あがった料理を皆んなで分け合って食べる。この喜びは、専業化し分断された現代の人間関係にとって、何よりも大切にされるべき価値観だと思う。生きる喜びを見出せないでいる子供たち、あるいは希望を失いかけた老人たち、自然のすばらしさを忘れてしまった都会人、隣人や地域コミュニティの大切さを忘れてしまったすべての人に対し、いまガウチョは、ダッヂオーブンを通して、分かち合うことの大切さ伝えていければと思っている。これが一番おいしい料理の食べ方なんだと云うことを伝えていきたい。